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読書「生と死の謎に挑む」NHKスペシャル [読書]

2009年に放送され、その後、大反響があったNHKスペシャル、立花隆 思索ドキュメントと一体編集されたものだそうです。
立花氏が追及したこと、それは「人類はどこまでがんを理解しているのか?」というテーマだった。

その結論は「発がん研究について、かなり多くのことは分かってきたが、確かな答えはまだ得られていない。」

1971年、(米)ニクソン大統領は国家的政策目標として「がん克服」を掲げ、10年以内に人類最大の難病、がんを征圧するべく一兆円を超す国家予算を投じた。しかし、44年が経過した現在でも、がん征圧のゴールは見えず、がんをめぐる様々な謎は一層深まり、がん研究は混迷の度合いを深めている状況らしい。 

著者は、「時間はかかろうとも、いずれ、人類はがんを克服するであろう。しかし、筆者の眼の黒いうちにそれが実現することはない。」と締めている。

そういうことから、がんを告知されたばかりの人や若い人には、この本をお勧めすることはできない。治癒に関する希望が持てなくなるから・・・。しかし、がん手術、抗がん剤治療、放射線治療等の経験者にとっては最良の一冊だと言える。

がんは、本質的にその人の遺伝子に蓄積した変異の積み重ねであり、その人の個性そのものであり、患者個人の歴史を反映したものである。個人個人が違った人生を歩んできたように、その人のがんも違った人生の反映なのである。同じがんは2つとないということらしい。

抗がん剤の恐ろしさ。抗がん剤が骨髄に作用し、血液をつくる造血幹細胞を襲う。血液成分は寿命が短く、白血球の好中球の寿命はわずか2~3日だそうである。白血球の減少により、感染症を引き起こし、副作用死が発生する。

がん化とは、浸潤の有無であり、良性腫瘍が浸潤を始めると悪性腫瘍になったと判断するらしい。

人間は60兆個もの細胞を持つ多細胞生物の進化の極致にある生物である。がんは、産業社会が生んだものではなく六億年前から存在する。ライフスタイルの変遷により、がんになる割合は変化したとしても、がんは多細胞生物にとって本質的で先天的な宿命の病だそうである。

また、著者自身もがん患者(膀胱がん)であり、TBSニュースキャスターの筑紫哲也氏(肺がん)、ノーベル賞受賞候補の物理学者、戸塚洋二氏(大腸がん)、俳優、松田優作氏(膀胱がん)などの壮絶な闘病を知ったうえで、「僕はがんばらない」と明言している。

私の考えは、立花氏にほぼ同調した。


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ひさ

お値段高めの本で厚みがあり、NHKスペシャルのDVDが付いています。アマゾンで中古本を購入しました。
by ひさ (2015-06-15 07:15) 

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